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日本歯科新聞
掲載日
2024/07/02

【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「歯科技工のスケール」

好きが高じて、靖國神社の遊就館を何度も訪れる。復元された日本の軍用機を見るためだ。毎度、その大きさに圧倒される。実機を1/72の模型に置き換えると縦横十数センチとなり、掌にのる。同スケールを基準にした場合、近年の映画に登場するようなアメリカの戦闘機は約3倍の大きさとなり、比較差を手で感じて驚く。

歯科技工の仕事上、それぞれの原寸大を感覚で捉えておくことはある意味、大事だ。歯形彫刻で重要な最初の観点は、原寸に近いかどうかだと聞いたことがある。

かつて、歯科技工業界を社会全体から見た三次元的視点で捉えるようにと指導を受けた。日本経済の中の歯科業界、その中にある歯科技工業界。マクロの視点で捉え、自分たちのスケールを掴めということだった。それぞれを数字で捉える構図だったが、当時からすでにラボの長時間労働や経営難、将来的な技工士不足の実態がうかがえた。

ある催事のスピーチで、当社創業者が自社を振り返り、高齢で頭髪が薄くなった頭をひと撫でし「〝もうけ(毛)〟が少ない」と言って聴衆を笑わせた。経営の現実的な側面を鋭く捉えながらも、場を和ませるとんちの効いたスピーチが心に刻まれた。

歯科技工業界が厳しいことには変わりないが、このところの保険点数の改定など国や業界全体の課題に向けた動きが良い方向へ進むことを願いたい。

さて、歯科技工も国際的スケールが当然の現代、海外との関係性はもはや必須といえる。だからこそ、互いの実態をよく確認し合う必要がある。このほど当社は、アメリカテキサス州に法人を設立した。いよいよ、培ってきた自分たちのノウハウとスキルのスケールを海外に拡げる時が来た。

新しいチャレンジに期待している。歯科技工に夢が持てるように。

(W/W)

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