今回より、本欄を執筆させていただくことになりました、和田精密歯研 代表取締役会長の和田主実です。日本歯科新聞社様とのお付き合いは、弊社の創業者である父の時代からで、長年大変お世話になっています。
生まれも育ちも大阪の私としては「つまらない文章は書けない」という思いを持ちつつも、自分が「面白い」と思う内容にすると、どうしても「品格に欠ける」傾向があるようで……。そんなジレンマを抱えながらにはなりますが、これからどうぞよろしくお願いします。
さて、弊社の本業である歯科技工業界にはどうやら独特の空気感があるようです。
私が初めて営業でお客様を訪間した際も自己紹介をする前に、「技工所さんってすぐわかるわね」と言われました。入社してすぐのことで、業界に染まるも何もない上に、歯科商店さんと同じスーツ姿だったのですが、何かが違うようです。
過去に、一度だけそれを肌で感じたことがありました。13年ほど前、韓国の大韓歯科技工士協会様を表敬訪間した際のことです。何名かの幹部の方に出迎えていただいた瞬間、「あれ?」。ふっと肩の力が抜けるというか、ホームに帰ったような気分になりました。それは日本の歯科技工士さんの集まりと同じ雰囲気だったからです。
技工所に入れば、エンジンの音や、レジンのモノマーや石膏粉の香りですぐに技工所だと認識できますが、訪間先の技工士会館にはそういうものは一切なく、協会の方に会って初めて「あー、これが歯科技工士さんの空気感なのか」と思いました。それはこの業界に37年(技工士学校を入れると40年)いて、合点がいった瞬間でもありました。
ただ、今でも何が違うのか明確にはわかっていません。わかる方は、ぜひ教えていただきたいと思います。
和田 主実