SUPER
TECHNICIAN
スーパーテクニシャン(歯科技工士紹介)
梶原 俊一 Toshikazu Kajiwara
歯科技工士を目指したきっかけ
大きなきっかけは、自分の歯が悪かったことです。中学生くらいのときに、前歯の真ん中に小さな虫歯があり、当時はポーセレンやレジンといった選択肢がなく、金のインレーのようなものを詰めました。普通に話しているだけではあまり見えないのですが、嫌だという気持ちがずっとありました。
仕事を決めるときに、何か手に職を付けた方がいいのではないかと思いました。そのときにふと、中学生のときに自分の歯が悪いのが嫌だったことを思い出し、歯を綺麗にできる歯科技工士という職業を目指そうと思いました。当時は、人の歯を綺麗にしようなんてそんな大それたことは考えておらず、ただとにかく自分の歯は綺麗にしておきたいという気持ちでした。
入社当時の思い出
入社前の面接で初めて本社ギコービルに訪れたときはビックリしました。正面玄関を入ると、いきなりエレベーターがあるじゃありませんか!それも8階建て、この辺りでは高層ビル。自社ビル、技工所、エレベーター!!
入社当初は、絶対に失敗をしてはならないと自分自身は考えていました。もちろん失敗をしないということは不可能ですが、できるだけ失敗をしない方法を選択していました。アタッチメントを担当していたので、工程はたくさんあり、一つ失敗するとかなり後戻りをしなければならず時間もかかっていました。だから失敗したときは、また同じことを繰り返さないようにという気持ちでやり、失敗しない方法を考えながら日々、技工に取り組んでいました。
かっこよく言うと「歯科技工を科学する」という感じですか!失敗しないように先を見込んで、想像力を持って仕事をする。妄想ではなく、想像力です!!
スーパーテクニシャンを目指したきっかけ
会社から応募資格を満たしているので受けるように言われ、受けました。
実技試験で作品を提出するのですが、その当時は作品に規制がなかったので、とにかく同じ受けるなら他の人が作らないもので目を引くものと思い、実物の1/4くらいの大きさの全顎の舌付き模型をカービングして提出しました。審査する人が見て「エッ!!」と思えるものを作りたいという気持ちでした。
歯科技工士になってよかったと思う瞬間
素直に、自分が作ったものが上手くできたときは嬉しいです。自分が良いと思いながら、更に、こういう意見も出るかもしれない、先生はこう言うかもしれない、上司はこう言うかもしれないと思ったときに、最大公約数の考え方でどこでも当てはまるように作っておきます。ただ、今の自分のできる範囲で自分の持っているものを最大限製品に活かしておかなければいけないと思います。そうやって時間をかけ、一生懸命作ったものに満足できると歯科技工士になってよかったと感じます。
仕事も遊びも「手は抜かない」、「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」ですね。「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」
さらなる目標、夢
今、歯科技工士が減少傾向にありますが、和田精密の社員には何か教えていけたらと思っています。まずは最大公約数の考え方で、勘とコツを伝承していきたいです。一から順番に数をこなして覚えていくのも大事ですが、コツを聞いてそれを自分の中で組み合わせ、もっと上手くなりたいという気持ちになることも大事だと思います。ただ、そのベースにあるのは、本を読むなどの勉強で知識を身に付けることです。
いま、教育をする立場にいるので、若手に“気づき”を与えられるように指導していきたいと思っています。また、歯科材料はセラミックス、プラスチック、金属加工(鋳造)と収縮と膨張の繰り返しで成形しますので、歯科理工学的なことは知っておくべきだと感じます。
休日の過ごし方
車やバイクが好きなので、どちらかに乗って出かけたり、バイクをいじっていることが多いですね。
バイクはレストアして磨けるところはピカピカに磨きます。ピカピカになると気分は最高ですね。歯科技工の研磨工程と同じです。ピカピカになると嬉しいですよね!
また、時間があれば週に一回は筋トレで身も心も強化し、二十歳代の体を目指して・・・!
とりあえず、何かこだわりを持って生活しているというところです!
後輩やこれから歯科技工士を目指す方々へメッセージ
人の体の一部として、どれ一つ同じものがないものを作る中で、自分が任され上手くできたときにはきっと楽しいと感じるし、達成感があります。これは自分が作ったものだというゆるぎないものがあり、そういう喜びがモチベーションにもなると思います。日々、1つ1つの臨床ケースを大切にしてほしいですね。それがある一部の工程でも良いと思います。
「精神一到何事不成」の精神で!!
PRODUCT 歯科技工物紹介
ATTACHMENT WORK
PROFILE プロフィール
生産本部
梶原 俊一(カジワラ トシカズ)- 1958年
- 大阪府出身
- 1982年
- 大阪歯科大学歯科技工専門学校 専攻科 卒業
- 1986年
- 和田精密歯研株式会社 入社
- 2002年
- 大阪市中小企業優良従業員表彰
- 2003年
- スーパーテクニシャン 認定
資格
- 2006年
- 日本歯科審美学会 歯科技工認定士
所属学会
- 日本歯科審美学会
説明会コンテンツ
- 新製品カムデンチャー
- ホワイトクラスプについて
主な論文発表
- 1988年
- 『アタッチメントのロー着』 歯科技工
- 1995年 4月
- 『レーザー熔接機の臨床報告』 歯科医療1995春号
- 1995年 4月
- 『レーザー溶接の強度に関する研究』 日本顎咬合学会誌 第16巻 第1号
- 1996年11月
- 『レーザー熔接機の有効性と合理化効果』 歯科技工
- 1997年12月
- 『こだわりのラボ用GEARセレクション』 歯科技工別冊
- 1998年 1月
- 『レーザー熔接機の有効性』 QDT
- 2003年 7月
- 『クラスプが破折した「合理的な修理法」』 デンタルダイヤモンド 増刊号
- 2003年 8月
- 『カムアタッチメントを用いた新しいリジッドサポート 義歯カムデンチャーの製作』 歯科技工
- 2005年 3月
- 『当社におけるレーザー熔接の10年』 医用歯科機器学会誌
- 2006年 6月
- 『大規模ラボにおけるレーザー溶接』 補綴臨床 別冊
- 2014年11月
- 『CAD/CAM Digital 技工の取り組み』 日本アンチエイジング歯科学会誌 Vol.7
- 2015年12月
- 『ジルコニア冠+ガルバノ冠で作る付加価値創出テレスコープ義歯』 日本アンチエイジング歯科学会誌 Vol.8
主な学会発表
- 1995年 1月
- 『レーザー熔接の強度に関する研究』 日本顎咬合学会
- 2000年 3月
- 『金属床におけるチタン合金の優位性』 日本補綴学会
- 2004年 7月
- 『シンポジウム補綴装置の精度を高める!歯科技工用レーザー熔接機の応用』 日本医用歯科機器学会
- 2007年 6月
- 『Titanium cast and Laser welding』 歯科チタン学会 第2回国際歯科チタン技工シンポジウム