SUPER
TECHNICIAN
スーパーテクニシャン(歯科技工士紹介)
石川 聡 Satoshi Ishikawa
歯科技工士を目指したきっかけ
歯科技工士という職業はもちろん、歯科技工自体全く知りませんでした。元々大学進学志望でしたが、受験に失敗したことで就職へと進路を変更しました。両親から「手に職をつけなさい」ということで、母親から薦められた歯科技工の専門学校を受けることにしました。
無事入学することはできましたが、クラスで自己紹介をする際に「まずは技工を好きになるようにがんばります」と言って先生に笑われたのを覚えています。決して『目指す』という形ではなかったのですが、幼いころから絵を描くことや物を作ることが好きだったこともあり、入学してからはどんどん歯科技工にのめり込んでいきました。
入社当時の思い出
配属先の福井事業所は、今と違って人数が10人程だったので一人にかかる責任が大きかったです。入社して半年くらいで鋳造も任されるようになり、朝一番に出社して会社を開けていました。
入社当初、数え切れないくらいの失敗をし、そのたびに先輩や上司に支えていただきました。ロングのケースで鋳造を何度も失敗し、一人だけ残って仕事をしなければならなくなったことがあります。遅くまでかかり、どうにか翌日のアポイントに間に合うように終えることができたのですが、会社を閉めて家に帰ろうと駐車場に行くと、一人の先輩がおられ、「飯でも奢ってあげるわ」と声を掛けていただきました。そのときに「お前やったら一人でできると思っていた」って言っていただき、あえて手伝わず一人で最後までやらせてもらえたのだということに気付きました。信頼して任せてもらえたということで、とても嬉しかったのを覚えています。
入社5年目のころ、会社の一大プロジェクトとしてクラウンセンター綾上の立ち上げがありました。社内で募集があったので、自分も力になりたいと思い、飛び込んでみました。元々少ない人数でやっていたので、いざクラウンセンター綾上に来て大人数でやるとなると全く要領が違い、頭では理解していても慣れるのには時間がかかりました。
クラウンセンター綾上では、パターンとワックスアップを担当しており、パターンの部門長までさせていただきました。人を管理するという中で、私なりに煮詰まってしまったときがあり、そのときは管理職として人の管理をするよりももっと技工がしたいという気持ちが大きく、当時の所長に相談しました。「それなら何がしたい?」と聞かれ、ポーセレンに興味があったことから「メタルボンドをやらせてください」と言って異動させてもらいました。
スーパーテクニシャンを目指したきっかけ
やりたいと思ってやり始めたメタルボンドですが、日々の仕事量に流されて、ただただ毎日の仕事をこなしているという感じでした。
そんな中で、社内資格としてスーパーテクニシャンという資格があるけれど、実際に自分は今どのくらいできるかを知りたかったのと、できることなら自分の実力をその資格で明確にしたいという気持ちがありました。それには勉強も必要でしたし、努力してスキルを上げていかないといけないということで、一生懸命勉強しチャレンジしてみました。
歯科技工士になってよかったと思う瞬間、エピソード
患者さんのすぐそばで仕事をされている院内技工士さんのように患者さんの生の声を聞く機会があまりない中で、立ち会いをしてほしいという依頼を受けることがたまにあります。
あるロングのケースで、立ち会いをしながら仕事をさせていただく機会があったのですが、フレームの試適やシェードテーキング、さらに素焼きでの試適と、その都度立ち会いをさせていただいていました。その患者さんはいつもチェアで眉間にしわを寄せておられ、怖い顔をされていたのでとても緊張しながら仕事を進めていたのを覚えています。
大きなケースだったので1カ月ほどかかりましたが、最終的に無事セットとなり、最後のときに初めて私の方を見てにっこり笑いながら「何回もすまなかったね、ありがとう」と言ってくださいました。その言葉を聞いてホッとしたのと同時にとても嬉しかったことを覚えています。
さらなる目標、夢
お陰様でいま、クラウンセンター綾上ではサブマネージャーを務めております。
クラウンセンター綾上発足当初から携わっていますが、当時は他拠点の同僚に「クラウンセンター綾上は会社のお荷物」と言われとても悔しい思いをしたのを覚えています。
そんな中でも上司を信じて、上司や先輩からの指示を確実にこなしていかなければならない立場からやってきました。逆の立場になった今、部下や後輩たちに信じてもらえるように、また、信じてくれている部下たちを導いていってやらないといけないと感じています。
それは技術もしかりですが、和田精密の一ラボ・センターとして、クラウンセンター綾上を会社の中で一番のところに持っていきたいと思っています。
休日の過ごし方
最近は早い時間に仕事を終えることができるようになってきたのですが、仕事の性質上、平日は遅くまで帰れないことが長く続いていました。せめて休日くらいは家族と過ごそうと努めていたので、今もその流れで休日はいつも家族と過ごすようにしています。
現在では、子どもからだんだん手が離れてきたので、最近は妻とゆっくりお茶を飲みに行くなど、忙しかったころにできなかったことを楽しんでいます。
後輩やこれから歯科技工士を目指す方々へメッセージ
どんな仕事でも楽な仕事はないと思いますが、特に歯科技工は奥が深く、難しいことや大変なこともたくさんあります。
私もこれまでたくさん苦労をしてきましたし、同時にたくさんの経験を積んできました。ただ、やり遂げたときの達成感はそれ以上にあると思います。
また、デジタル化が進んでいることで以前に比べて仕事のやり方や手技手法がずいぶんスマートになってきています。
当社の社是社訓にもあるように、『独創的技術を確立』し、『社会的使命を果たせる』次世代の歯科技工士を共に目指していけたらと思います。
PRODUCT 歯科技工物紹介
PORCELAIN WORK
PROFILE プロフィール
四国センター
石川 聡(イシカワ サトシ)- 1967年
- 京都府出身
- 1990年
- 京都歯科医療技術専門学校歯科技工士科 卒業
- 1990年
- 和田精密歯研株式会社 入社
- 2007年
- スーパーテクニシャン 認定
所属学会
- 日本顎咬合学会
説明会コンテンツ
- CAD/CAMシステムの現状について
主な論文発表
- 2020年 9月
- 『歯科技工士の立場から見た二ケイ酸リチウム結晶化ガラスの長所と短所、および製作時の留意点』 日本歯科理工学会誌Vol.39 No.3