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【日本歯科新聞】さじかげん(186)「日本の歯科医療へ」

和田 弘毅 

 私が所属する吹田ロータリークラブと台湾の新竹東ロータリークラブが姉妹提携をしてから、かれこれ35年になる。当時そのエリアには大きなホテルがなかったので、特別に精華大学の迎賓館に泊めてもらい、大学とゴルフ場を拠点にしてた交流が盛んだった。

 このたび大阪香川県人会の会長職を退任したこともあり、台湾の方々へのご無沙汰の不義理をこの際一挙に解消しようと意気込んで、先日、台湾へ行ってきた。

 新竹市で法律事務所を営む友人があれこれ計画してくれたのだが、歯科医院の見学を予定していると言われ、50年前に見た台北市の歯科診療所の記憶にタイムスリップしながら、内心しぶしぶ、桃園市まで行った。

 ところが、見学させてもらった歯科医院は50年前の記憶とは雲泥の差で、ビルの中にありながら、緑(の造花)に囲まれた美しい庭園ともいえる、高級カフェのような見事な内装で、「こんなデザイン誰が?」と驚くばかりだった。

院内は設備も立派で、プロ級の写真撮影から始まり、パノラマ3D など口腔内の画像がすべて4K液晶画面に表示され、その日の診療計画が一目瞭然で、治療はその日のうちに治療を終えるようになっていた。診療報酬は東京の自由診療の高額だが、患者目線での歯科医療を追求すると、こういう歯科医院ができるのかと考えさせられた。

そこで、このシステムは誰が提供したのか、機械はどこの国のものか、林院長に聞いたところ、アメリカの設備を直輸入しているとのことで、設備投資は約1億5千万円とのことだった。

 かねてより日本の歯科医療の欠点は『長時間、低料金」であると言われているが、どれほどITの技術が発達しても患者のニーズに答えなければと、歯科人としての不勉強を感じた日であった。

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