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日本歯科新聞
掲載日
2025/02/25

【日本歯科新聞】品質と生産性のさじかげん(下)

 前回、「生産性向上とは、同じ品質のものをより短時間で作ることを言い、そのために創意工夫したり、新しい設備を入れたり、作業工程を見直したりすることだ」という話をしました。一方、「品質向上」には「技術的負債」が生じる場合があります。それは生産性向上のために、効果的な方法ではなく簡単な方法を選ぶことで生じる追加作業のコストです。
 例えば、チェック作業を増やすと品質管理の精度は向上しますが、生産性は下がってしまいます。そのため多くの場合は、異なる商品として販売をします。歯科医院においても提供する医療サービスに、より原価や時間等のコストがかかる場合に異なる治療として請求額に差が出るのと同様です。
 しかしこれは、「異なる商品」「新商品」であって「生産性向上」や「品質向上」ではありません。世間一般の人件費や物価上昇に伴う「同じ商品・サービスの値上げ」は仕方がありませんが、そうでない限り、企業が努力するべき「生産性向上」や「品質向上」は同じ商品・サービスにおける向上です。

 生産性やコスト削減を重視しすぎるあまり、安全性や品質が担保できていないとなれば、お客様にご迷惑をおかけします。さらには企業全体の信用に影響するだけでなく、品質や安全性の向上にコストをかけすぎるとしわ寄せが来て従業員の労働条件が悪化しかねません。これは常に経営者の最大の課題ですが、生産性と品質の「さじかげん」が見えていないと悩み続けることになります。
 
 昨今、歯科技工士の不足と器材費用の高騰で大幅に値上げをお願いしている立場のため、「お前のところの企業努力が足りん」という先生方の声が聞こえてきそうですが、機械化や合理化による企業努力の成果が、世間の労働環境改善の波の速さになかなか追いつけていません。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。

和田 主実

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