ニュートラルゾーンという言葉があります。いわゆる中立帯です。このことを配慮して排列することは重要です。
ところが、「審美的に!」とか「元あったところに!」という説得力のある理論を耳にすると、ある種その方がより臨床的と思う方が多いかもしれません。
しかし、安定した義歯を作るには、その排列位置に注意を払うと、ニュートラルゾーンを無視することができないことに気付かされます。
時に上顎前歯部を審美的に少し前方に排列すると、それに引きずられて下顎前歯部が前方位になり、下顎の吸着安定を求めることができずに苦労することがあります。
その時は上顎にソバ棚を設定して、その棚部に下顎前歯を咬合させるとニュートラルゾーンの位置に下顎義歯を排列することが可能になることもあります。過蓋咬合気味でやや審美的に不安がありますが、日本人的個性と私は感じます。
症例