今回は臨床編はお休みして、医院経営における考え方・心構えについて掲載したいと思います。
さて、タイトルのマージンミックスとは「異なる粗利益率をミックスして、目標の粗利益率を確保できるようにコントロールする販売戦略」と書かれています。
こんな内容は読んでも理解できないので、経営学を勉強していない私たちには無理とあきらめてしまいそうになります。
しかし、次の例を読むとなんとなく理解することができます。
100円ショップの商品単価の基本は100円。しかし、これでは1点あたりの利益率は大きくない。しかも原価が100円を上回る土鍋のような商品もあるため、それだけを購入するお客さんばかりだと赤字は必至。ビジネスとして成り立たないことは明らかです。
ところが、お客さんはほぼ例外なく原価が低い、例えば中国製の皿やマグカップなどを合わせて買ってしまいます。
仮に原価が120円の土鍋と20円のマグカップを同時に購入するとどうなるか?
売上高は200円。原価は140円。結果60円の利益を生むことになります。こうしてこの業界の平均的な利益率とされる30%を確保するのです。これを「マージンミックス戦略」といいます。利益率の異なる商品を組み合わせて買って頂くことで、トータルで利益を上げる手法です。
(参考文献:値段のカラクリP.63 宝島社)
ここで終わってしまうといけないですネ。私たち歯科医師の仕事もそうで、保険ではなかなか採算がとれないというところがあろうかと思われますが、ひとつの救いは自費ということになります。
収益率の良い自費の存在は、医院経営としてはありがたい側面があります。
もちろん保険診療での信用の延長線上に自費診療があることを忘れてしまうと医院経営の根底が崩れるという認識を持つことが大切で、それを忘れてしまうと必ずや悲劇が待っています・・・
「塩田義塾 軟パラだよりvol.29」巻頭言より転載