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日本歯科新聞
掲載日
2023/12/19

【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「蟹の手、蛸の手」

 師走は1年を振り返る機会が増える。今年は10月に浅草で開催された日本咬合学会第27回学術大会で「我が技工人生を語る」というタイトルで大会長招待講演を授かった。光栄なことであり、母が歯科技工士だった子供時代から今日に至るまでを回想する内容とした。
 学会の理事長を務める大阪大学名誉教授の丸山剛郎先生と当社との付き合いは古く、私が入社した時にはすでに、本社技工部にAUH(アタッチメント・ユニバシアード・ホスピタル)という丸山先生の補綴に対応する専門部署があったほどだ。
 さて、講演の中で本コラム執筆に関するエピソードを紹介したのだが、意外に思われた人が多かったようだ。本コラムの連載開始は2001年で、当社創業者の和田弘毅が社長時代の想いをしたためていた。
初めて代筆を務めたのは16年前だが、引き受けたものの何を書けばよいのか分からず、悩んだ末に思いついたのが「蟹の利き手」。当時、日本咬合学会で学んでいた臨床生理咬合を基に、人それぞれ歯並びや噛み癖があるように、蟹もハサミの上下の突起のバランスが良い方が利き手だと結論付けた空想の話だ。講演後、「蛸足八本、頭を一発殴った時、痛ぇと瞬時に頭を押さえた足が蛸の手だという落語があるんだ」と元大学教授が笑って教えてくれた。
 歯科技工士の中には人前で話すのが苦手な人も多いと聞く。しかし、学会の講演や発表は自身の得手不得手よりもこれまでに築いた人脈的要素の方が大きいだろう。
 歯科技工士としての人生は、自身の積み重ねに価値を見出すことから始まり、さまざまなつながりによって幅が増す。情報を自ら発信することで逆に得られることも多く、考え方に厚みが出る。現在は歯科技工で「機能する歯をつくる」ことが大きな意義を持つ時代になった。
今年を振り返り、そう思う。
(W/W)

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