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日本歯科新聞
掲載日
2024/09/10

【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「晴耕雨読と食事」

実家の両親は田舎で30年来、晴耕雨読の暮らし。互いに90歳を過ぎても元気。父は94歳で28本とも天然歯。母は上下総義歯だが食事に不自由はない。よい歳の重ね方だと言うと、晴耕雨読はお前には無理と返される。実際、小さな畑でも野菜作りにはそれなりの知識と体力と根気が必要。私には知識はないし、雨の日は読書どころかテレビかインターネットを眺めるだろう。

父は昔から「自分が生まれた土地の周辺四里で採れる物を食べていれば健康だ」と言っていた。古臭い言い分も分からぬでもないが、すでに飽食の時代において、食べ盛りの私はこれが苦手だった。しかし冷静に考えると、両親はこれまで大した病気もせず元気でいる。近所の親戚がつくる田んぼの米を食べ、家の横を流れる川で鮎を釣り、毎日の味噌汁の具は畑になる野菜。ごくたまに飲む酒は地元の蔵。両親の暮らしぶりと食事の関係性を見ると大いに納得するのである。

唇歯輔車(しんしほしゃ)は、持ちつ持たれつ互いが支え合うことの例えだ。2005年に成立した食育基本法には、食事が生きる基本と示されている。リテラシーという言葉は「その分野の知識や能力を活用する力」を表すが、食生活のリテラシーはどうだろうか。自分自身の健康と食事( 食材)の関係性を考えることはとても大事だが、意外と見落としがちではないだろうか。日本歯科医師会のHPにあるeatright =良食。大切な言葉であると思う。

食育を唱える時代の補綴技工は「咀嚼できる補綴物を造る」が使命となろう。歯科医療が健康のために重要と認知された現代では「噛める」を造る意義は高まるばかりだ。「しっかり噛める」を学問するとかなり深くなるが、誰にとっても咀嚼は消化を助けるものであり、健康の源。だからこそ、歯科技工士は咬合の形と咀嚼運動にもっと注目すべきだろう。

(W/W)

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