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日本歯科新聞
掲載日
2024/12/10

【日本歯科新聞】仕掛品棚卸のさじかげん

製造業とサービス業というわけ方があります。弊社のような歯科技工所は、総務省の日本標準産業分類では、「医療に附帯するサービス業」になりますが、税務署より「仕掛品棚卸」を求められ、毎年膨大な労力を割いています。

「棚卸」は、会社の所有する材料や在庫をお金と同等に見立て、資産として税金を課すものです。例えば、歯科技工所であればレジンや石膏の未開封の袋はすべて数えて計上しなければなりません。完成した技工製品や、仕入れて販売する前のインプラント部品も同様に計上します。

一方「仕掛品棚卸」では、1万円の義歯が工程の半分まで完成している場合は5千円として計上します。歯科技工所は数日の短い納期で製作し納品するため、本来、在庫はほとんどありません。にもかかわらず、製作日数が4日の技工製品で2日目まで進んでいるものは売価の4分の1、3日目のものは半分の資産として計上しなければならないのです。これは、材料や仕入れ品を数えるのと違い、膨大な労力がかかります。

納める税金が毎年大幅に増えるのであればまだ納得がいきますが、翌年は前年分を差し引きます。そのため、ただ膨大な作業が発生するだけで、増減する税金の額は大して変わりません。

当初、「サービス業なのにどうして仕掛品棚卸があるのか。税務署のさじかげんでは?」と不満をぶちまけていました。しかし、サービス業にも仕掛品棚卸は存在するようです。「歯科技工製品は途中まで作ったところで他の人に売れないから、資産にならない」と思っていましたが、仮に途中で患者さんが来なくなったとしても、歯科医院への請求はしますし、何らかの理由で途中で他の技工所に代わる場合も、排列済みのケースを販売し、完成~納品までをしてもらうでしょう。悔しいですが、サービス業にも仕掛品の資産計上をする必要性の理屈はあるようです。

和田 主実

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