当社や先生方の医院のみならず、昨今はどこでも人員確保が最大の経営課題となっています。労働集約型である歯科技工業は、予算と人員は密接にリンクしています。人材を確保できなければ、人件費は減少するものの、同時に生産性も低下します。個人事業とは異なり、年間数%以上の事業(売上)の成長がないと事業は縮小し、最後には会社がなくなってしまいます。
当社の取締役会では、毎年春先に来年度の採用計画と連動した休日設定を議論します。完全土日祝日休みよりも年間の総休日数が重視されるらしく、来期は休日の絶対数を優先しました。
日数が決まった後はカレンダーを睨みながら、「3連休はいつ何回に?」「年末と年始、どちらにウエイトを?」と、社員はもちろん、お客様の視点や状況も踏まえつつ議論を重ねます。「夏季休暇はこの程度ならご理解いただけるだろう」とか「さすがにクリスマスから年末休みに入ると先生から『欧米か!』とツッコまれそう!」といった具合です。
また、採用に成功しても最初の数年間での退職比率が高いことから、楽しい職場づくりにも注力しています。当社では古くから「お褒めカード」という社内外で褒めたり褒められたりすると賞与評価に影響する仕組みや、10月末日を「服装自由の日」と定め、どんな格好をして就業してもOKにしており(「和田精密服装自由」で検索してください)、意外に社員から好評を得ています。
一方で、日々人材確保に努力する立場からすると、テレビやインターネット上で氾濫している転職関連CMには腹が立ちます。あたかも転職しないとカッコ悪いというノリの内容が目立つように感じます。
社長時代、よく「座右の銘は? 好きな言葉は?」と聞かれることがありましたが、今、質問されたなら答えは「好きな言葉はないですが、嫌いな言葉は『デ●●ダ』と『△△リーチ』」です。
和田 主実