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日本歯科新聞
掲載日
2025/06/24

【日本歯科新聞】義歯のアート性

 歯科技工物は当然、補綴物としての機能性や審美性を最優先としつつ、患者さんの希望と医学的な完成度の両立を目指すべきでしょう。しかし多くの歯科技工士は「模型の上でのカッコ良さ」の概念を併せ持っており、自身の裁量で自由にできる部分は少なからず「カッコイイ」に引っ張られることがあります。

 私は生来、入れ歯や差し歯に囲まれた環境で育っている割に、そうしたセンスには恵まれておりません。しかし以前、カリスマ歯科技工士にして一流写真家でもある川島哲さんの金属床の写真を目にした際に「色っぽい」と感じました。「金属床が色っぽいってどういうこと?」と思われるかもしれませんが、私の想像では川島さんは女性のボディラインを撮るのと同じ感覚でご自身の金属床を撮影されているのでは……?
 本稿執筆に際し、ご本人に確認したところ「その通り。第二の青春を送れるよう、元気になるような義歯を感じてもらえるように」とおっしゃっていました。

 最近はジルコニアの隆盛で目にする機会は減りましたが、昔はよく歯科技工雑誌にメノウや大理石の断面のような面持ちのポーセレンクラウンの断面図写真が掲載されていました。この断面美は、患者さんにも先生にも機能性にも関係なさそうですが、「自分もこんなのを作りたい」と憧憬を抱く歯科技工士もいたようです。義歯についても「羽ばたきそうな総義歯」や「流れる川のような金属床」をカッコイイと思います。ただこれは人や人種によっても違うようで、ドイツ人のパーシャルフレームの設計などはメカニカルでスチームパンクなカッコよさが好まれるようです。

 ヒップホップでよく見かける「グリルズ」まではいかなくとも、近年「ティースジュエリー」が再流行し始めているらしいと聞きます。タトゥーと同様の感覚で歯のファッション性が普及すれば、提供する側の創作の楽しさもかなり広がるのですが……。

和田 主実

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