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【日本歯科新聞】さじかげん (155)歯科から知らせること

 歯科技工は技術とセンスだといわれるが、もう一つ大事なことは作業時間という観念ではないか。ものづくりにはそれ相応の時間がかかるが、個人の能力差や熟練度で時間は多少変わる。しかし昨今、コンピューターと加工機械を使う歯科技工は必ず一定の時間が必要となり、作業時間に融通がきかない。時間を有効に使うには時間帯をずらすか時差を活用していくしかない。

 クリニックで1本の歯を処置から補綴まで治療するのに患者は平均7回ほど通院するとしよう。1回の治療時間を30~40分とすればトータルで280分を費やすこととなる。歯は28本あるのだから一口腔の治療は7840分かかる。こんな計算に意味はないと感じるだろうが、患者は誰もが忙しく時間がないのである。昼休みの60分。急いで昼食を終え治療の予約に走っても午後からの仕事に間に合わないからやめたと聞き、思わず考え込んだ経験がある。海外では治療に費やす時間を経済的損失と見る向きもある。

 さて、話を歯の損失というか欠損に戻すと、事故で左足のひざから先を失った青年が、入院中に左足の指がかゆいといって母親を困らせたという話を聞いたことがある。脳が覚えているのだろう。歯で考えてみても、例えば下顎の6番を失ったら脳は何らかの反応を示すのではないか。歯科治療は、どの歯が身体のどこに影響を及ぼすかを解明できないものだろうか。これが分かれば患者はもっと歯科に大きな関心を寄せるはずである。

 今、歯科界は世界的規模で急速に変わりつつある。世の中の生活も常に変化している。歯科技工業界、あるいは歯科界からは今以上に世の中に向けて時間的概念の情報発信が必要になってくる。さらに健康長寿という大きな枠をもっと具体的に掘り下げた提唱がなければ、いつまでたっても歯科医院は「行きたくない所」で終わってしまう。(W/W)

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