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【日本歯科新聞】さじかげん(172)「生きるのが仕事」

 従業員が1千人を超えると頼みごとや要望が増えると思い、「携帯電話は24時間営業」と宣伝しているが、連絡がこない。

 歯科技工は技術職だから、人とのコミュニケーションはさほど必要としないというのは大間違いで、自分たちの仕事を分かりやすく、興味深く説明するのは営業部門だけの仕事ではなく、モノの価値を伝え広めるための生産部門の仕事でもあるのだ。

 管理職に接客を学んでもらうため、「歯ART美術館」勤務を指示した。同美術館には歯科関連の展示もあれば工芸品の展示もあるが、日常の取引とは全く関係ない来館者との会話は、技術者にとって不得手な世界と言える。まず丁寧なあいさつから始まり、言葉遣いやしぐさにも気を使わなければならない。歯科医療関係者以外と接触すれば専門用語は使えないから、かえって歯科技術や技能の難しさを分かりやすく表現できるようになるはずだと思った。

 先日、瀬戸内海の美しさを世界に配信してみようと、拙宅にライブカメラを設置して、「みえますネット」を始めた。この試みを、ある女性社員に紹介したところ、彼女が「頼みを聞いてくれませんか」と言うので、「はい、何でも」と気安く答えた。彼女の希望は「父に生きがいを与えてほしい」というものだった。

 75歳からは「生きるのが仕事」と思っているので、彼女の父上に電話をし、「ありのままに生きるのが仕事です。全力集中が一番。生きるのに役立つのでまず歩く、前進あるのみで挑戦しています」と話した。それに対して、父上がはつらつと答えてくれたので、うれしかったし、逆に励まされた。

 彼女から「良かったです。良かったです。ありがとうございます」と何度も言われ、高齢者には高齢者の仕事があるものだと、日ごろとはかなり違った満足感を得た。美しく輝く彼女の目を見て、親孝行だと感心した。

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