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【日本歯科新聞】さじかげん(173)「奇跡はないかのう!!」

 叔父(母の弟)が106歳で他界した。施設に見舞いに行く度に私に「もう奇跡はないかのう」と言うので、「どうして」と聞くと、「支那事変、太平洋戦争と過酷な時代を生きてきて100歳を超した今、現代の生活環境の良さを考えると、誰でも110歳位まで生きられるはずと思うが……」と言う。叔父は憲兵将校として中国の武漢に出兵していたが、帰国後は日通に勤めていた。最後まで記憶力は定かだったので、叔父の言う「奇跡」とは車いすからの復活を願ったものと思われる。

 奇跡の復活と言えば、82歳の私の体験を僭越ながら述べると、心臓や腎臓の手術、前立腺放射線治療など、いくつもの危険なオペを受けてきたが、全て名医に恵まれ、回復した。しかし、ここ3年ほど、どうしても回復しないものに味覚障害と口腔乾燥症があった。わが業務として一応専門領域の範疇にあるような口の中の問題で、しかも舌痛を伴い、「亜鉛や鉄」をサプリメントで取るように医師から指導を受けたが、むしろ過剰摂取か、肝臓の調子がおかしいのをうすうす感じていた。

 ある時、生貝を肴にウイスキーを2日程連続で飲むと、夜中に脱水症状を起こし、空エズキをした。翌日、大学病院に駆けこむと「どこも悪くない。酒をやめてほしい」。その一言で3カ月断酒した。

 奇跡は起こった。全ての血液検査が若かりしころの数値に戻ったのだ。回復期間は2カ月に及んだが、味覚障害以外に発音障害や歩行痛、やけどの古傷が坐骨神経痛になる等、食欲も含めて万事低調だったのが嘘のように回復し、再び各地に出張する意欲がわいて、広島、博多に出掛けた。

 そこで歯科領域以外の工学分野で、九大工学部の都甲潔教授が味覚の検査器を発明したのに遭遇。その対談内容を近々発表するが、奇跡のような意外な角度からである。結論を言うと、内科の担当老医師が「私の出番はない」とほほ笑まれたのである。

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