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【日本歯科新聞】さじかげん番外編 「顎口腔機能の数値化、可視化」

妹尾輝明
(元広島大学歯学部附属歯科技工士学校文部教官)

 長年、便利な生活を続けているうちに、歩くことも噛むことも少なくなったように思う。身体の老化予防のため、歩行計をぶら下げて1日1万歩を目標に歩いている高齢者は多いのではなかろうか。また、現代人の咀嚼は、弥生時代に比べ約6分の1に減少しており、日本咀嚼学会も一口30回以上噛むことを推奨している。

 咀嚼回数を簡単に測る方法をインターネットで探していると、そのものズバリ、「かみかみセンサー」という咀嚼回数測定器を見付けた。すでに2008年に一般向けに市販されており、これを使うことによって、子供たちの咀嚼への意識が高まっているという。

 人間は「オギャー」と生まれて、母乳を飲み始めた時から死ぬまで食物を口にする。食物を咀嚼するための顎口腔機能を明らかにすべく、長年、世界の多くの学者が研究を積み重ねてきている。10年に日本顎口腔機能学会はその研究成果を基に、顎口腔機能評価ガイドラインを提示しているが、いまだ顎口腔機能の全体像は見えてこない。そこで、それぞれのライフステージにおいて、定期的に顎口腔機能の検査を始めてはどうだろうか。

 老人介護施設等で聞く話だが、「食事の時は義歯を外して刻み食を与えている」とか。高齢者が長い間あまり噛まない食生活を続けていると、誤嚥や認知症を惹起しやすいと言われており、気になるところだ。

 子供や高齢者の食育および口腔ケアの推進という観点からも唾液や味覚等を含む顎口腔機能の数値化、可視化を図り、国民に分かりやすく提示することが求められている。これは安心、安全で科学的根拠に立脚した歯科医療体制を確立するためにも必要と言える。

 これから国民の健康寿命を延ばすためにも歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が一丸となって顎口腔機能と健康との関わりを追及していくことが、今後の歯科界に光明をもたらすに違いない。(S/W)

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