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【日本歯科新聞】さじかげん(175)「歯科技工士と人間国宝」

 ものづくりに長年従事していると、例えば石工さんの仏像や木工さんの木彫り、そして世界に誇る盆栽等、身近なところでも異業種の技能熟練者に大変な努力の成果を見ることができる。それぞれの分野で秀でた才能を発揮し、歴史上または芸術上価値が高いと認められると人間国宝に選ばれる。選定基準が気になったので、知り合いの国会議員の方に問い合わせてもらうと、「自薦他薦は問わない」との回答で、日常生活に必要なものを20年以上作り続けていることや職種によって異なるが、各種展示会の入選歴があるなどが条件のようだ。

 果たして人間の健康維持・増進のための歯科技工物を作る歯科技工士が人間国宝になり得るかは議論の分かれるところだろうが、日常生活になくてはならないものを学生時代から熱心に創作し、長い年月をかけて口腔での機能性や審美性を追求しているという面からすると認められてもよいのかもしれない。

 この意見に対しては、医療との解釈・観点からふさわしくないという反論があるかもしれないが、昔から行われている技能コンクール等で製作された歯科技工物は、健康や社会生活までも意識して作られたものと考えれば、作品を超えて価値あるものと捉えられないだろうか。人間国宝は作品とともに、それを作った人間も評価され、その両方を後世につなげることに意義があるように感じる。ここ何十年、昼夜の別なく、働いてきた歯科技工士の技工物と技術を世に出し、世界に伝え広める意味においても、人間国宝のような存在を必要とする時期が来たのではなかろうか。

 歯科技工の技術分野は広く、金属工学、窯業工学(陶磁器)、高分子プラスチック工学、接着工学、加えて材料力学、構造力学、流体力学等、日本の産業を一体化した総合技術であり、審美学会、顔学会も関与して成り立っている。

 3DやITが技工士の存在意義を証明できるはずである。

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