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【日本歯科新聞】さじかげん番外編 「修繕」

傳寳弥里(でんぽうみさと)
(神奈川県歯科技工士会横浜支部長)

 猛暑の中、仕事場のエアコンの調子が悪くなった。歯科技工は何かと熱を発する機械を使用するので室温は40度近くになる。快適な空間で仕事ができていたことを改めて感謝しつつ、災害で避難所生活をしている方々のご苦労に思いをはせた。

 便利で快適な生活を求め、人はいろいろ便利な物を開発し、それがある生活に慣れてしまっている。生まれた時からエアコンがある世代のように、歯科技工士になった時からCAD/CAMがある世代にはロストワックス法などは効率性の悪い過去の技法となる。精度の良いワックスフレームを作る必要性はなく、その熟練も不要で、代わりにPCを扱うスキルが必要となる。数年後、口腔内スキャナが普及すれば、新人歯科技工士の初めの仕事は模型作りということもなくなるだろう。

 機械と素材の進歩により、機械化が進み、歯科技工士のあり方も変わってきた。技術の伝承は大切だが、残していく技能と知識として持っていればよい。技術を見極める柔軟な感覚が必要だろう。若い歯科技工士と話していると自身の頭の硬さを痛感する。歯科技工士はこうあるべきだという考えをいつの間にか持ち、その考えを押し付けてしまっていたと思う。こうあるべきという姿は時代と共に変化する。その緩やかな変化に気付かなかったのが歯科技工士不足の原因の一端だろう。

 エアコン掃除の作業員と修理の作業員が暑い中、汗を滴らせながら作業をしてくれたお陰で快適な環境に戻った。エアコンの調子が悪かったのは室外機、設置時のミスで冷媒が漏れているのが原因だった。少しずつ悪くなっているのに気付かず、気付いた時にはその修繕に大変な時間がかかる。歯科技工士不足の原因は、歯科技工士皆が分かっていると思う。修繕で収まる内に改善に向けて努力していかないといけない。
(D/W)

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