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【日本歯科新聞】さじかげん(181)「ドローンの成果」

和田弘毅

 ドローンなるものを購入した。従来のカメラと値段も大きく変わらず、アイフォン、アイパッドミニが追加されただけの極めてシンプルな装備である。

 空中を飛行するドローンは、鳥の目ような俯瞰撮影を得意とする。これまでのカメラは成熟期に入ったと思いきや、ドローンから得られる斬新なカメラワークは、多くの人を魅了している。私もその一人であり、今後さらなる発展が期待される。

 わが歯科界にどう活用できるかと考えるに、補聴器や眼鏡の発達に比べ体内にある機能を観察するカメラとして、直接効能を求めるのは難しい。この点むしろ、ドローンよりもある部分を超拡大してみられるマイクロスコープの方が重要視されている。

 歯科修復物の極限を撮影するために、200倍まで拡大できるデジタルマイクロスコープを買った。一見、きれいに研磨したと思われるような滑沢な表面もマイクロスコープを使って拡大してみると、傷だらけであった。目を覆いたくなるような事実を突きつけられたが、それが高性能カメラの神髄とも言えるのではなかろうか。

 さて、ドローンの話に戻るが、やはりそれ自体が歯科医療に貢献するのは難しいように思う。ある一点を突き詰めて見るのを得意とするマイクロスコープと違って、ドローンを使って何かを見ようとするのは大局的・俯瞰的にその物を捉えようとすることだからだ。ただ、歯科界でも歯一本を突き詰めてみるのと同じように、全体像(咬み合わせや咀嚼運動、頭位等)をみるのが重要ではないだろうか。

 マイクロスコープは肉眼では見えないミクロの世界をのぞかせてくれる道具として、医学発展に貢献してきた。今後は、こうした道具で観察した情報を基に、人間の複雑な咀嚼運動や限界運動の研究が進み、真理が追究されることを切に願っている。

(N/W)

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