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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】『歯科技工士を育てる』

鰐淵 正機
(和田精密歯研常務取締役)

 アメリカで歯科技工の仕事をしている方の経験談は、同じ歯科技工士として興味深かった。辛坊治郎氏の著書にも例えがあるが、賃金体系は同一労働同一賃金の制度が日本より浸透していて、セラミストとして雇用されると、最初からある程度の症例本数を与えられる。経験の長短に関係なく、セラミストとしての給料は同じなのだ。欧米型は職務給だから、ある一定の技術がなければ職に就けないが、一方で経験の浅い技工士は苦労することになる。しかしその分、若いうちからさまざまな症例を経験できるとその技工士の方は微笑んだ。

 日本ではどこの技工所も新卒でまだ仕事ができない技工士に給料を払いながら育てている。これが仕事は徐々にできるようになるから、それに応じて給料を払う職能給で、歯科技工は経験が必要な技術職だから「育てる」を考えるならば従来の日本式の賃金方式の方が適しているように感じる。そのように考えるならば技工所に必要なのは現場の教育システムといえる。昔のように「技術は盗め」などと言ってしまうと将来有望な〝人財〟は去っていくだけだ。

 彼は、アメリカの歯科技工の現場には人種という問題があると話す。これは日本にいては分からない。さまざまな国の技工士がいて、世の中に技術が認められると患者が技工士を指名してくる。お国柄によっても技工士の形は随分違う。北京で活躍する中国人技工士は、社員を日本の技工所に研修に出したいと言っていた。デジタル技術でいえばよほど中国の方が進んでいるように感じるが、日本で学ばせたいのは「仕事への姿勢」だという。日本人技工士のまじめな仕事ぶりを評価しているのだ。技術の継承には次の人を育てるのが不可欠といえる。

 新人が職場に就いて1カ月が過ぎようとしている。給料の仕組みや教育システムを丁寧に説明するのが技工士育成の第一歩であろう。(W/W)

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