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【日本歯科新聞】さじかげん 【番外編】 「世相と歯科技工士の変化」

鰐淵 正機 
(和田精密歯研常務取締役)

 システム開発の速度が速いのか、以前はなかったコンビニの無人精算機やホテルの自動チェックイン機などを目にする機会が増えた。目の前で無言でほほ笑む受付の女性を見ながら、おぼつかない指先で機械を操作し、「こっちの方がよほど時間が掛かるよなぁ」と相手に聞こえるように独り言を言ったら「会員登録すれば次からはあっという間ですよ」と返され、苦笑い。

 学校検診に行った先生からは「今の子供はむし歯なんて全くないし、欠損もない」と聞かされ、今の子供たちが成人するころにはむし歯も欠損もない大人ばかりになっているかもしれないと考えた。その時、歯科技工士はどうするのか。世界の人々の歯をつくっているのだろうか。あるジャーナリストの著書に「10年後にはあらゆる病気を克服できる」とあったが、歯周病も解決されるのだろうか……。

 また別の先生からは、平均寿命と健康寿命は延びているが、両者の差が全く縮まらないのが問題だと指摘された。誰もがPPK(ピンピンコロリ)を望むだろうが、その割合は10%にも満たないという。だからこそ自分の歯でずっと食べられることが大切で、管理栄養士が在籍するクリニックが増えている。そうした医院はシニア世代向けの治療プログラムも整えられているため、その世代向けの専門技工を考えるのも今後の課題だろう。本当に咀嚼や嚥下の仕組みも考えた補綴物になっているか、今から歯科技工士は生理学や解剖学はもちろん、高齢者の治療の実態を自分の目で見る必要がありそうだ。

 歯科技工士が不足する一方で、仕事は溢れるようにあり、歯科技工所の生産能力を超え、受注を断るケースもあると聞く。世の中が目まぐるしく変化する中で、歯科技工士は一緒に仕事をする歯科医師の専門分野を学び、その領域に特化した技術を持つ必要が出てくる。20年後の話ではない。今からである。
(W/W)

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