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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「よみがえる美声」

鰐淵 正機 
(和田精密歯研常務取締役)

 国民的歌手の美空ひばりさんをAIの技術で復活させて新曲を披露するというテレビ番組があった。視聴者から「次は石原裕次郎さんも復活させて欲しい」というリクエストがあったそうで、完成度の高さがうかがえる。二人が亡くなった年齢はともに52歳だが、だいぶ大人に見えていた。人生100年時代で若返りも一気に進んだ感がある。

 さてそのAI歌手だが、歌声だけでなく身振り手振りまで徹底的に解析されて、3Dホログラムで目の前に映し出されたのには驚いた。感性の塊の世界のような音楽も膨大なデータの積み重ねによってAIが深く詳細な部分まで読み解いていく様にあらためて感心すると同時に歯科技工の技術もいずれこうなるのではと一抹の不安を感じずにはいられなかった。

「歯科技工業界は匠の技術はAIには無理だ」という声をいまだに耳にするが、その匠の技術とは何を指すのだろうか。

 洋服も体形をスキャンすればフルオーダーのスーツやジャンパーを作るらしい。もう背中にメジャーを当てて採寸する必要もない。肩幅や胸回りの採寸はオーダースーツを作るというある意味自己満足の時間でもある。それがなくなるのは味気ないが、精度は高くなるだろう。テーラーも歯科技工士と同じように思えてくると言ったら失礼か。

 匠の技術でこれからも必要とされるのはひらめきの部分とはいえ、IT企業の方からすれば想定内と言われるかもしれないが、歯科技工の場合、その場にいないと感じ取れないこと。トラブルを解決するアイデア、要するにチェアサイドでの能力である。デパートの工芸展で塗職人が言った言葉を思い出す。手作り品は何度も修理して長く使える。機械で作ったものは修理がきかない。しかし亡くなった方をよみがえらせる凄い時代だ。世の中の価値観が変わる方が早いかもしれない。
(W/W)

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