鰐淵 正機
(和田精密歯研常務取締役)
新型コロナウィルスの感染拡大により、いつもと同じ春の風景にいつもと違う空気を感じる。グローバルな世界と言いつつも世界規模の感染を防ぐため、あらゆる国の玄関口に壁ができ、人の自由に強制的な制限がかかる。
もともと歯科医院は滅菌や殺菌に関しては高レベルで管理されているから安心とはいえ、院長先生やスタッフさんの苦労はいつにも増してなのは想像にたやすい。とは言え、政府から在宅勤務の推奨が発表されても製造業の在宅勤務はままならないのが実情だ。そのような中でも新年度を迎えた日本では、多くの歯科業界一年生が希望に胸を膨らませて、職場デビューしたことだろう。
当社の新入社員の中に筆者と同郷の者が一人いる。採用面接の時に歯科技工士の道に進んだ理由を尋ねたところ、「子供の頃から診てもらっている先生から歯科技工士の仕事は素晴らしいと聞かされていたから」と答えた。その歯科医院の院長先生の顔はすぐに思いついた。大変お世話になっっているが、技工物のことで注意を受けることも多く、何度かご迷惑をお掛けした。それなのに歯科技工士の仕事を評価して下さっていたこと知り、胸が熱くなった。
歯科医療は歯科医師、コ・デンタル、歯科商店、歯科技工所、歯科関連企業によって成り立つ共同体だ。個人や一人では成り立たず皆が協力し応援し合って充実している。
先日、ある企業のホームページに歯科医院における感染予防の取り組みなどのポスターを無料でダウンロードできるサービスがあると聞いた。今はどこの歯科医院も大変だから、せめてポスターでお役に立てるよう応援しているという。助け合いという心の懐の深さに企業としての倫理観を感じた。こんな歯科応援団のメンバーをさらに募る必要がある。
(W/W)