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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「障がい社員新聞10年」

三好 博文

(和田精密歯研株式会社 顧問、元筑波大学附属聴覚特別支援学校教諭)

 50年も前の話だ。来日した欧米人が街中で障がい者を見かけないので、「日本には障がい者がいないのか」と皮肉った。島国日本はかつて家族の中に障がい者がいると世間から隠す風習があった。近年は個性、多様性が叫ばれ、街中を行き交う障がい者の姿をよく目にする。

 当社は障がい者雇用の先駆で、初雇用から52年目を迎える。現在の障がい社員数は30~40人で推移している。2011年、あの東日本大震災発生の直前、全国の当社ラボに勤務する障がい社員を対象に絆を深めるべく新聞発行を思い立った。

 当初は月2回発行だったが、通算43号からページ数を増やす代わりに月1回発行に切り替えた。これを機に社外の関係者、全国の技工学校の先生方にも障がい者への理解を深めてもらえるよう毎月お届けし、現在、通算138号に至っている。

 紙刷りでの発行は手間と費用を要する。時間の節約もあって取材先にあえて校正を求めない。配布先は自分で決め、Facebookでも配信し、本社を介在せず荒削りでも個性豊かな新聞を目指した。この間、強く感じたのは、耳が聴こえない者は視覚と勘に優れ、目が見えない者は聴覚と触覚が抜群だ。知的障がい、発達障がい者は潜在能力に合致すると忍耐強く神業の仕事を成し遂げる。

 健常者の陸上世界一の選手が時速36キロで走るのに対し、脊髄損傷の車椅子使用者の世界一の選手の上半身は筋肉の塊りとなり時速40キロで走る。障がい者の第六感である洞察力は鍛えた脳が健常者よりはるかに上回る例が続々と報告されている。

 時には、やむを得ず転職していった元社員と親御さんに障がい社員新聞を送付し、当時とは様変わりした今の職場環境を感謝を込めて報告している。

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