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【日本歯科新聞】 さじかげん【番外編】「技の匠と歯の神様」

鰐淵 正機
(和田精密歯研常務取締役)

 「〇〇の神様」という表現を目にしたり、耳にしたりすることがある。最近、「大工の神様」があの聖徳太子だと教えられた。諸説あろうが、大工が使う差し金と関わりがあるようで、測りごとの仕事に従事する人たちの神だという。歴史教科書で習った程度の知識しかなかったが、職業柄、興味が湧いた。

 歯科技工もデジタル化が進み、長さや角度、面積といった寸法精度がより明確になって、その恩恵を実感できるようになった。特にインプラント補綴の場合、フィクスチャーの埋入位置やアバットメントのデザインと上部構造の形態などにその威力が表れる。

 今後、さらに口腔内スキャナーが普及すれば技工所はデータ受注が増えるだろう。現段階のデジタル技工はさまざまなノウハウを必要とし、極端にいえば同じデータでもオペレーターによって全く違う仕上がりになってしまう場合があるのに驚く。

 6月にチタン冠が保険収載された。CAD作業が途中からアナログ作業に替わることに、もどかしさを感じないでもないが、実はチタン鋳造の歩留りに課題を感じている。

 技工作業のなかで鋳造は重要ポイントなので、絶対失敗したくない時、昔は技工の神様にお祈りしたい気持ちだった。まさに神頼み。ちなみに、全国に歯の悩みを祈願する神社仏閣石像がおよそ300カ所あるらしい。前に真田幸村は歯が抜けて困っていたと書いたが、なんと実の娘である阿梅の墓が歯の神様として宮城県白石市に祀られているとある。実に親孝行な娘である。(宮城県・大崎歯科医師会HPを参照)

 デジタル技工が本格化する今は、徹底的に技術検証を蓄積する時だ。デジタルはデータが残り、後に検証できるというメリットがある。この地道な作業がやがて確かな技術として確立していくのだと確信している。

(W/W)

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