言語
MENU
NEWS

NEWS 新着情報

メディア
日本歯科新聞
掲載日
2023/08/22

【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「鋳るチタン削るチタン」

鰐淵 正機
(和田精密歯研監査役)

 夏休み前、全国の技工学校で企業説明会が行われる。当社でも卒業生を帯同したり、時流に即した技工製品を持ち込んだりして工夫を凝らす。中でも特に、デジタル加工のミリングチタン床が教務の先生方の耳目を集めると聞いた。5軸加工ならではの仕上がりに評価が集まるのだそうだ。

 近年の補綴技工はジルコニアという素材に大きな恩恵を受けている。しかし、いまや日常的に扱われているチタンもまた、約30年前から補綴技工に大きく貢献している素材であることは間違いがない。当時、チタンプレートは硬くて調整が困難、クラスプが破折する、色が黒いなどのマイナスイメージを広く持たれていた。だが本来チタンは軟らかく弾性がある金属なのだ。加工技術の難易度が高く過熱によって酸化が進むと、性質が劣化してしまう。従っていかに酸化させずに鋳造するかが製作過程のポイントとなる。

 やがて鋳造の課題は解決されていく。一方、鋳造機の綿密なメンテナンスと、熟練者による鋳造タイミングの判断は必要不可欠とされた。それほどに、酸化を防いで鋳造したチタン床は弾性を有していたのだ。クラスプの微調整に手こずるほどに。

 しかし、鋳巣の問題だけはクリアできなかった。それが鋳るチタンから削るチタンに加工法が変わる契機である。
 金属床の変形は、主に研磨過程で起こるとベテラン技工士は言う。磨きあげる作業者の力の入れ具合や発熱の問題らしい。これに反して、きめ細かく削りだされるチタン床の研磨時間は従来法に比べて1/4以下と大幅に短い。作業工程も簡略化されているので変形につながりにくく、結果的に適合が良くなるという。

 ものづくり歯科技工の転換期。重合方法も含めて、金属床義歯の適合精度が上がり、今後も製作技術がアップデートされていくことに大いに期待したい。
 今こそ義歯。
(W/W)

新着情報一覧

CONTACT お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

06-6321-8551 ここを押すとお電話できます
受付時間 9:00~17:00(土日祝除く)

お問い合わせフォーム24時間365日受付