SUPER
TECHNICIAN
スーパーテクニシャン(歯科技工士紹介)
在木 真之介 Shinnosuke Ariki
歯科技工士を目指したきっかけ
中学校を卒業後、工業系の高等専門学校(高専)に進学しました。高専は5年制の学校ですが、3年生を終え高卒の資格だけを取り学校を中退し、アルバイトをしたり遊んだりして毎日を過ごしていました。
そんな生活も数年が経ち20歳をすぎ、次第に焦りを感じ始めていたころ、歯科医院に勤める知り合いから歯科技工士の話を聞きました。それまでは銀歯や入れ歯が誰によってどのように作られているのか全く考えたことがなく、歯科技工士という職業は知りませんでした。
もともと私は工芸品の職人さんの仕事に憧れ、自分の手を使って何かを作りあげる仕事をしたいと思っており、国家資格があれば仕事に困ることも少ないと思い、歯科技工士になることを決意しました。
入社当時の思い出
入社後は義歯の埋没重合の担当になりました。指示書の見落としや機器の操作ミスなどで、多くの失敗をし、作業スピードも遅く1人分の仕事はできていなかったので、給料をいただくたびに見合った働きができているか自問自答し、申し訳ない気持ちになりました。周りの先輩方が一人分以上働いてくれているおかげで自分が給料をもらい生活できているのだと思い、感謝の気持ちを忘れないよう自身に言い聞かせていました。
早く一人前になれるように努め、1年後に上司から埋没チームを任せると言っていただいたとき、初めて会社に貢献できていることを実感しました。埋没重合工程は作業を成功させることは当然で、評価されにくく、一つの失敗が前後の工程に大きな迷惑をかける大変な工程でした。そのような中、後工程の研磨担当の先輩から、「在木くんが埋没をやり始めてから、研磨が楽になったよ」と声をかけていただいたことはとても励みになりました。
スーパーテクニシャンを目指したきっかけ
当時、広島センターには4人のスーパーテクニシャンがいました。全員が私より上の世代で、高い技能を持っており、自分とは程遠い存在だと感じていました。私より下の世代で認定試験を受ける人はおらず、このまま広島センターでスーパーテクニシャンが生れなくなったら、伝統を受け継ごうとしなかった自分の責任なのではと考え始めました。
ちょうど歯科医院への立会いや、先生からの問い合わせを受けることが増えてきた時で、自分の知識・技術の未熟さを痛感していたところでした。
そこで、スーパーテクニシャンの認定試験に挑戦し、努力することで、結果がどうであれスキルアップにつながり、周囲への刺激にもなると考えました。
歯科技工士になってよかったと思う瞬間、エピソード
ある日、歯科医師の先生から女性が笑顔で写っている写真をいただきました。「この前作ってもらったデンチャー、患者さんがとても喜んでいたよ」と。前歯部の欠損にスマートデンチャーを製作した症例で、若い患者さんだったため歯冠長が短く、審美性と機能性のバランスをとるのに苦心しながら作業を進めた特に印象深い症例でした。本当に喜んでいただけているのが伝わってくる自然な笑顔で、患者さんの『口福』に貢献できたことを実感し、嬉しかったです。
予期せぬフィードバックをいただき、とても励みになりました。今でもその写真は大切にしまってありますが、目にするたびに仕事へのやる気が湧いてくる大事なものです。
さらなる目標、夢
入社以来、多くの上司、先輩方からの指導を受け、導いていただいた結果、今の自分があると感謝しています。私がスーパーテクニシャンになったことで「面倒を見た甲斐があったな」と思っていただけたら嬉しいです。
先輩に近づくことが目標ですが、技工を知れば知るほど、遠い存在だということを痛感しています。 同じように、私も後輩の目標となる技工士になりたいです。それには今の自分に満足せず、知識・技術・人間力を向上させ、何事にも余裕をもって対処できるようにならないといけませんね。
後輩たちに夢を与えられる存在になることが、私の夢です。
休日の過ごし方
子供達が大きくなり、自分の時間が増えてきたので、10年近くお休みしていたバイクに再び乗り始めました。社内のバイク好き仲間とツーリングに出掛けることも多いです。
興味もないのにダムを見に行く「ダムツー」、遠方のパン屋に朝ご飯を食べに行く「パンツー」など、ゆる~いツーリングを楽しんでいます。行き先でのんびりしてリフレッシュ。誰も仕事の話はしません(笑)。
みんなで相談しながら計画を立て、楽しみにして過ごしていると、自然と一体感も生まれてきますし、日々の生活にもハリが出て良いです。
後輩やこれから歯科技工士を目指す方々へメッセージ
10年後にどうなっていたいかというビジョンを明確に持つことができていれば、それを実現するためのプロセスを考え、努力をすることで大きな成果を生むことができます。
しかし、働き始めても日々の業務をこなすことに精一杯で、10年後の自分はこの仕事を続けているかわからないという人もいると思います。かくいう私もその一人でした。「どうせ辞めるかもしれないから、今努力しても無駄になるかもしれない」ではなく、「将来この仕事を続けていたとしたら、今努力しないのは自分にとって大きな損失になる」と考えてみてはどうでしょうか。
苦しい思いをしたとしても、必ず何かしらの成長はあります。前向きにがんばっていれば周囲は必ず見ていますし、そういう人には自然とチャンスが巡ってきますので、どんどん仕事にやりがいが出て楽しくなってきますよ。
PRODUCT 歯科技工物紹介
REMOVABLE WORK
PROFILE プロフィール
広島センター
在木 真之介 (アリキ シンノスケ)- 1982年
- 広島県 出身
- 2006年
- 広島歯科技術専門学校 卒業
- 2006年
- 和田精密歯研株式会社 入社
- 2020年
- スーパーテクニシャン 認定
所属学会
- 日本歯科技工学会
主な学会発表
- 2022年11月
- 『ノンメタルクラスプデンチャー樹脂のみと金属床併用との比較』日本顎咬合学会(ポスター発表)