もちろん吸着がないと読むべきです。しかしながら、その吸着がないことが適合不良ではなく、咬合関係に問題があってそうなることも結構あります。また、排列位置がニュートラルゾーン内ではなく外側であるためということもあります。
この落ちるということで、一番考えなければならないのは上下咬合関係の不適です。もちろんこの不適をキャンセルするのは、リマウントで軟パラをすることで「咬合関係が良くなり落ちなくなりました!」という話をよく耳にします。
したがって、落ちる対応はリマウントを忘れずに、もちろん適切な咬合を再現し、床外形を変えリライニング、という丁寧なトライもしてみましょう。
私はポストダムを形成していますが、その部位に当たりが出たという経験がほとんどありません。2㎜以上削ることがないからかも知れませんが、トラブルは少ないです。
このポストダムは、重合変形の補正という効果もあるのか、吸着できなくなることをフォローするという意味で役立ちます。
【ケース1】
リライニング、リマウント等を何度おこなってもあまり改善せず、上顎義歯の脱落が続いていました。
新しく製作するにあたっては、ニュートラルゾーンを考慮して歯列弓を内側へ変更することで落ちなくなりました。
![左は旧義歯で前歯が突出している。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-1.jpg)
![左の旧義歯の排列はかなりバランスが良くないことがわかる。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-2.jpg)
![左の旧義歯に比べ新義歯は、その咬合高径がかなり高くなっている。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-3.jpg)
![側面観を見ても咬合高径がかなり高くなっていることがわかる。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-4.jpg)
![](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-5.jpg)
【ケース2】
FDにおいてのポストダムの作製法について説明します。
この様に面的に付与することによって、上顎義歯の吸着を求めることができます。幸い当たりを経験することはほとんどありません。
![アーライン側にポストダムを付与する術前。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-6.jpg)
![床後縁を記入。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-7.jpg)
![設計ラインの外側にガイドを打つ。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-8.jpg)
![](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-9.jpg)
![ポストダムエリアを面的に記入。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-10.jpg)
![カーバイトバーを用いてエンジンにて削る。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-11.jpg)
![エバンスにて整形する。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-12.jpg)
![仕上がり。](https://labowada.co.jp/wp-content/uploads/2023/02/13-13.jpg)