仕事柄、知人から「良い歯医者さんを紹介してほしい」と頼まれることがよくあります。たいてい「家か職場の近くで、先生が優しく治療が上手で痛くなくて、ちゃんと説明もしてくれて」と続きますが、最後はその方の金銭感覚によって「できるだけ保険で」か「費用はいくらかかっても構わないから」に分かれます。
一方、技工サイドからすると、あいまいな返事しかできないことが多々あります。なぜなら、技術の評価は模型上での判断に限られること、歯科医院によって予約システムが異なることなどが理由です。待合室に患者さんが多いからといって人気とは限らないですし、先生によっては我々と患者さんに対する接し方が違う場合もあります。
結局、「ここが絶対おススメ!」と紹介するのはなかなか難しく、相談者を「で、どないやねん!」という気持ちにさせてしまうことが多いです。また、明らかに対応が難しそうな性格の方の場合も得意先に紹介することでご迷惑をかけてしまうのではと躊躇するため、結果的に「役に立たんヤツ」と思われているかもしれません。
弟は歯科医師なのですが、わが家と同様「父親が歯科技工所経営者」で「息子が歯科医師」というケースもよく見ます。父親は息子が歯科医師として開業すると喜びと同時に経営面の心配をし、「何とか患者数を増やしてやろう」と知人を紹介します。しかし、息子からすれば「オヤジから紹介された患者さんには大変気を遣うし、裕福な方でも高額な治療を勧めるのは気が引ける」となる場合が多いようです。私の父もリンゴを一ケース買って来て、「患者さんへ一個ずつ配れ」と言い、弟が困惑していたのを思い出します。
私は弟に歯の治療をしてもらっていますが、文句ばかり言う身内の治療を嫌がる先生の話もよく耳にします。先生方は、ラボからの紹介、親兄弟からの紹介、身内の治療についてどのようにお考えでしょうか?
和田 主実