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日本歯科新聞
掲載日
2026/05/26

【日本歯科新聞】さじかげん「そこに愛(AI)はあるんか?」

まず初めに歯科技工業界に携わってまいりました身として、このたびの歯科技工士不足に起因する
「歯科技工所ベースアップ支援料」の保険収載に関し、先生方をはじめ関係各位に心より感謝申し上げます。

弊社、和田精密歯研は金属床義歯で生業をはじめました。

1958年に父、和田弘毅が合金とその埋没材、鋳型の加熱温度、鋳造温度等々をゼロから研究し、
初期は精度が悪かったため、すべてのケースを2つずつ作って納品したと聞いています。
それを知った同業者は「和田は1個分の料金で2個作るという安売りをしている」と思っていたそうです。
それから68年。金属床の主体はコバルトクロム合金になり、現在では受注数の約4割がチタン合金です。
加工方法も鋳造→切削→AM(積層造形)→AMと切削の複合加工へと移り変わっていきます。
ところがいまだに鋳造の設備は残しており、一部取って代われないケースもあります。

一方、クラウンブリッジの設計はAIに取って代わられつつあります。
経験を積んだ歯科技工士が最終チェックや調整、修正等をするものの、それも徐々に少なくなってくると思われます。
可撤式義歯においても設計開発は進んでいます。

以前、ハリウッド俳優たちがAIが自身の過去の演技データを取り込み、本人に似た演技を生成しているにもかかわらず
著作権さえ支払われていないとして抗議デモを行ったというニュースを見ました。

歯科技工におけるAI設計も、ソフトウェア会社が収集し歯科技工士の設計データを基に発展していると聞きます。
経験と子弟教育でノウハウを受け継ぐだけではAIを活用した歯科技工のコストには太刀打ちできません。
歯科技工士のノウハウをどう守るかが今後の大きな課題ですが、めどは立っていません。

某消費者金融のCMではないですが、今こそAIに問わなければなりません。

「そこに愛(AI)はあるんか?」

和田 主実

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