鰐淵 正機
(和田精密歯研常務取締役)
TV番組でも多く取り上げられるほど日本の人手不足は逼迫している。ある番組の中で、都内のタクシー会社に外国人が運転手として勤務しているというレポートがあった。日本人でさえ地方から上京すると地理が分からない場合がある。カーナビが装備されているとはいえ、日本人と一緒に日本語で新人研修を受けるところなどに外国人の積極性と能力の高さを感じ、興味深かった。
企業体をとる技工所は販売部門と製造部門、管理部門に区分される。当然、それなりの社員数がいるだけに、雇用側としては困る事例も多い。
例えば、先日まで笑顔だった社員が急に出社しなくなり連絡もつかないまま消える。そこにけじめはないのかと愕然とするが、今の時代はストレスが大きいのならば出社しない方が良いとも言われているらしく、技工士の働き方の環境も確実に変わっている。大人数のラボでは分担制を敬遠する向きもあったが、今はCADだけやりたいと希望する方も増えてきた。
技工学校の学生も日本人以外に中国、モンゴルの方も在校すると聞く。しかし、日本では技工士免許は与えられても国内で就業ができないとなれば残念なことだ。
日本は少子化で今後は海外から流入する人材に頼る国になる。すでに介護や建築業界がそうだ。法律の壁があるのだろうが、技工学校に進学する学生の減少や離職率をみると、今後は歯科技工士助手や外国人歯科技工士の就業に関する法整備の必要性を身近に感じるようになるだろう。
そうなれば古くからの気質、日本人の寛容性、親切さ、規律正しさを大切にする面が発揮されれば、企業や職場は突然の退職も減り、将来の展望が開けるのではないだろうか。
戦国最強の名将の言葉「人は城、人は石垣、人は堀……」は、現代でいう「人財」である。(W/W)