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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「令和時代の歯科技工士」

鰐淵 正機 
(和田精密歯研常務取締役)

 そろそろ梅雨明けしそうなこの時季、全国の歯科技工学校を対象に企業説明会や会社見学会が集中的に行われている。夏休みを利用しての見学やインターンシップを受け入れやすくするためだろう。

 先日、東北地方にある技工学校で行われた説明会に参加したが、名だたる技工所がブースを並べており、求人に対する意識の高さがうかがえた。

 最近は、その学校の卒業生を企業説明会に派遣する傾向が見られる。学生さんからすれば、前年に卒業したばかりの先輩のため親近感が湧く。それに同世代なので価値観も近く、質疑応答も活発だろう。

 一方で、説明役の先輩は入社1年目でも企業の代表だから、責任は大きい。某歯科技工所の社長の「社員の一人一人が自分たちの会社の理念や歴史を学んでおくのがとても大事」という言葉の重みが分かる。自社の理念や歴史を理解し、伝えていくのは令和の時代に生きる歯科技工士の一つの役割になるのかもしれない。

 おおざっぱに日本の歯科技工の歴史を約60年とすれば、昭和の30年間に何もないところから材料や金属床、ポーセレンクラウンなどをつくり、平成の30年間で世界に誇れる技術レベルまで発展させた。これにデジタルが加わって、令和の時代は歯科技工の進む道のかじ取りに変化が見られる。それでも変わらず必要なのは、歯科医師のニーズに合った補綴物をつくること。それにはチェアサイドの情報が不可欠になる。臨床を診る目や最後の仕上げに必要なセンスを磨く。さらにはデジタル技術の進歩はとても速いので、最新情報に対するアンテナの高さも大事になる。

 説明会で学生さんに一番に伝えているのは、就職希望の技工所に、どのような経営理念があって教育制度があるのかを尋ねなさいという点。令和の時代になっても大切なのは、受け継いで未来につなげていくことなのだ。

(W/W)

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