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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「若者の目が輝く時」

鰐淵 正機 
(和田精密歯研常務取締役)

 昨年は、「明治150年」が話題となった。新しい時代を切り開いたのが当時の若者だったのは誰もが知るところだろう。次の新しい時代をつくるのも今の若者たちだが、最近はそこに海外からの人材も含まれるようになった。医療の分野でも積極的にAIを取り入れていく動きがあるように、これまで経験してきた時代とは次元の違う世界の扉が開きつつある。

 しかしながら歯科技工士の長時間労働は解消せず、人材不足が顕著となっている。そして、それはついに危険水域に入り、現場では補綴物の製造に支障をきたすようになっている。今後は納期の延長や料金の値上げの要望が出てくるものと思われるが、これには働き方改革の影響も少なからずある。

 人材不足対策として奨学金制度を導入している歯科技工所がある。これは今や一般製造業では当たり前で、いわゆる青田刈りだが、地方にある電子部品メーカーは高校生や大学生に奨学金を提供して人材の確保に努めている。ある地方の技工学校の先生によると、学生の半数が奨学金制度を利用しているとのことでそれなりの効果があるのだろう。

 先日、あるものづくりの企業で講演を行った歯科技工所の経営者から、「20歳前後の若者が集まる会場で金属床やポーセレンの話をしたが、50人以上いる参加者の半数以上が居眠りをしていたのがとてもショックだった」と聞いた。
 若者は社会の未来を見つめている。前時代的なものづくりには興味を示さないのだ。彼らからすると、いわば金属床やポーセレンの時代は終わっているのだろう。

 今の時代、インプラントは当たり前だが、若者の目が輝くのはITといったデジタルテクノロジーを駆使する分野で、それは歯科技工も同じではないだろうか。

 同時に、変化に伴う法整備が行われないと業界は埋没することとなる。
(W/W)

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