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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「歯科のオーガナイズ考」

鰐淵 正機
(和田精密歯研常務取締役)

「オーガナイズ考」は筆者が勝手に思いついた言葉だ。

 技工の分業システムを嫌い、若い社員が退職願を手に責任者のもとを訪れる。自分で全行程を体得したいという気持ちは理解できるが、勢いだけでは立ち行かない。

 健全な企業運営には財務・経理・人事を扱う総務部門が欠かせないし、営業部門には販売以外に販促部もあり、製造部門には技工だけでなく研究開発・資材もある。全てを統括する経営企画部門には広報もあり、他には監査部門もある。さらに各地の現場を担うそれぞれのプロフェッショナルの存在によって企業は成立する。それを理解して自身の道を決めたのなら良いが、おそらくそうした仕組みすら考えていないのではないか。

 10年ほど前にシンガポールの歯科医院に視察研修に行った。そこは高層ビルが並び立つビジネス街の中心でビルの最上階全体が歯科医院になっていた。院長のT先生から受けた説明が今も心に残る。

 それは、この医院は各分野の専門医がシェアして共同経営を行っているため、治療内容、歯科医師、歯科衛生士、コーディネーターに至るまで歯科医院全体が完全に組織化されているというもの。補綴物は完全外注。患者の立場からすれば専門医の治療を一カ所で受けられるメリットは大きいだろう。ラボのみならずクリニックの組織化も経営の上では一考すべきテーマと言える。

 ある経営コンサルタントの講演で「歯科という特別な医療分野といえども保健医療の在り方は政府方針の大きな流れの中にあるものだ」と聴いたことがある。

 社会保障の「2040年問題」と言われるが、歯科医療が近い将来の日本の社会保障の一角を担うという社会全体での組織化も進んでいる。これまでの時代とは形を変えた歯科のオーガナイズが始まっていると考えてよいのか。

(W/W)

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