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【日本歯科新聞】さじかげん【番外編】「歯科技工の将来」

鰐淵 正機
(和田精密歯研監査役)

 職場の会話で「歯科技工の将来をどう思う?」と尋ねると、世代によって答えに顕著な違いがあるのが興味深い。

 中堅の30代は、入社当時に比べると労務環境(ここでは、長時間残業の解消と給与を指す)が劇的に改善されたのに加え、デジタル技術の普及により作業効率が上がっているので将来は明るいと言う。では、環境改善後にキャリアをスタートした20代はどう感じているのかと興味が湧いたが、漠然とした答えが多く、思考が定まっていない。

 40代のベテランになると、後進の人財確保に不安を抱えている人が多いようだ。キャリア豊富な50代は現実的で、先細りの未来を危惧しているが、部下を持つ立場上、多くを語らずに口を閉ざす。これらは雑談レベルの話だが、労務環境については、ここ10年の間にそれぞれの技工所が改善の強化に努めたのが分かる。

 だが歯科技工士の人材確保は当事者だけでは解決できない。だからこそ政府の「骨太の方針2021」にもそれについて明記されたのだろう。おそらくはデジタル技術の普及がその一端を補うことになると思われる。将来は歯科治療や補綴技工にも時代とともにスピード感や効率化が求められるようになるだろう。要は高付加価値を効率良く、より早くというニーズだ。

 ニューノーマルの今、あらゆる場面で効率化が進んでいると痛感する。これにもICTやデジタル技術が活用されるからハードウエアに依存する割合がますます高くなる。ただし、歯科技工でAIやデジタル技術では不可能と思われる分野が一つある。経験豊かな歯科技工士が臨床の中で発生する事案のアドバイスや症例ごとの補綴プランニングなど専門的な技術知識の提案を行うカスタマーサービスの部分だ。

 50代の歯科技工士は口を閉ざす場合ではない。技術の伝承こそ、今やるべきベテランの仕事といえる。

(W/W)

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