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【日本歯科新聞】さじかげん(143)「一生懸命が一番の判定基準」

 歯科修復物の作品を学術大会やデンタルショーなどに展示していると、ほとんどの方がまず手に取ってみる。不思議なほど手で触る。五感を頼りに品質を確かめるのだ。昨今のように、3Dによる三次元的分析をすれば、それが原型に忠実であるかどうかは数値で確認できる。しかし必要とする機能の予測までは困難と言える。歯科修復物の評価は、適合と歯周組織との関係、咬合と機能、審美のトータルであり、これらに歯科技工士は培った技術を注ぎ込むのである。

 デジカメの普及とフェイスブック等による情報提供が多彩になってきたものの、例えばクラウン一本の撮影にしても、咬合面や両隣接面だけでは情報としては不足し、立体展開図を考慮すると、最低でも六面から撮影が必要しなければならず、機能接触面などを含めると拡大図までもが必要となる。

 こうして細かく観察してみると歯科修復物はどこまで手を尽くしたかが分かってくる。手を抜いたところは、肉眼または第六感で相手に伝わってしまうのだ。

 一言でいえば、一生懸命に作ったかどうかが、作品の優劣を決める。「創ったものに命が宿る」と言えば、匠の世界の別領域のようだが、この姿勢は直感で相手に伝わるものだ。絵画と同様、圧倒的な迫力のある作品には心突き動かされる感動がある。

 特に若い技術者に伝えたい。歯科技工は熟練に至るに1千単位の経験を必要とし、急にはうまくならない。しかし、誠心誠意、心を込めて作ると、第三者の評価として結果と機能に関する意見が得られる。

 すなわち、人の教えを聞くことであり、「我以外、皆師」がとっておきの判定基準である。ひたむきに向き合い、教えを請うことで、初めて仕事の意味を理解できるのである。(W/W)

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