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【日本歯科新聞】さじかげん(148)「歯科技工士の60年」

 訪問先の歯科医院の技工室に大正生まれの方の歯科技工士免許が掲げられていた。歯科技工法が、昭和30年に施行されてざっと60年がたった。当時は、技術的経験を持ち、定められた研修を受講すれば特例技工士として歯科技工士免許が交付された。

 最近、昭和20年代後半ごろから歯科技工を仕事にしていた女性に話を聞く機会を得た。当時は院長自身が技工を行い、院長の奥さまや医院に勤める手の器用なスタッフが技工作業のお手伝いをしていたそうだ。

 その女性は、町を歩けばそこかしこから「入れ歯の具合を診てほしい」と声をかけられたり、今ではとても珍しいお歯黒の人工歯やゴム床入れ歯の修理も経験したという。昭和40年代の初めには、先見性のある院長の勧めで、当時最先端技術であったメタルボンドの研修も男性の歯科医師に交ざって受講したと言っていた。

 今や歯科技工の最先端はCAD/CAMや3Dプリンタなどのデジタル技工である。ほんの数年前までは、ワンピースで作るフルマウスのブリッジは適合精度を得るために相当な時間とスキルを必要とした。また、鋳造欠陥の問題も歯科技工士にとって大きな精神的ストレスとなっていた。

 それが今では就業1年目の歯科技工士でも、デザインの訓練を積めば見事な適合を得られ、非常に安定した物性の製品を作ることができる。デジタル技工は、先端技術はもちろん、労働環境の改善などさまざまな恩恵を与えてくれている。

 しかし、いかにデジタル化が進んでも歯科技工士としての技能は必須で、また、目まぐるしく進む技術の変化に遅れないためにも日頃の修練を怠ってはいけない。

 歯科技工はこれからもますます技術の発展をみるだろう。

 最後に、その女性歯科技工士は言った。「いつの時代も歯科技工士はいいモノをつくらないとね」(W/W)

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