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【日本歯科新聞】さじかげん (152)「技術を隠さない」

 各地でその土地の伝統工芸にふれると旅は充実する。欧米では、陶器をチャイナ、漆器はジャパンというくらい塗りの産地が全国にある。調べてみれば漆器の歴史は古く、縄文時代からというから驚く。

 ところが最近は漆塗り職人が減り、伝統工芸の伝承が危ぶまれているらしい。日常に漆器を使わなくなった生活様式の変化、外国から安い食器類が入ってきていることも原因の一つだろう。当然、産地では助成金を受けたり、育成機関を設けたり、また一般向けの体験コーナーなどでPR活動を行っているが、それだけでは技術の伝承にはつながらないのではないだろうか。

 昔かたぎの職人は「技術は盗め」や「背中を見て学べ」という。培ってきた技術を簡単に渡したくない気持ちは分からぬでもないが、現代ではこれが伝承の足かせとなっていて、さらに言えば、師匠側に教える段取りがないのである。

 職人という見方からすれば、歯科技工士も同類と言える。特に若い世代には技工士のなり手が減少し、閉鎖される技工学校も少なくない。

 せっかく苦労して技工学校を卒業しても卒後5年で約75%の技工士が離職するという。これでは歯科技工の未来も危ぶまれる。将来に向けてどうやって後進に技術を伝えていくか。さまざまな面で改善が必要になる。

 ゴルフの世界では、うまい人は技術を隠すことなく教えたがるとよく耳にする。ゴルフのスイングは個人によって異なるが、核となる理論がそこにはあり、レッスンプロが存在するゆえんなのではないだろうか。

 歯科技工業界も今後はますますデジタル技術が活用されるだろう。二つとして同じ形がない人の歯の作製ではあるが、技術を伝えていく際、さらに体系的な技術指導を取り入れていく必要があるのではないだろうか。重要なのは、優れた技術は後進のために隠してはならないということだ。(W/W)

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